時間領域強制分極法による地下水探査
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概要
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深井戸掘削のための地下水探査に際しては、文献調査、地質踏査、水文調査などに加えて電気探査(主としてウェンナー法)を行い、比抵抗値の分布から地下水の賦存形態を推定するという間接探査により、掘削地点を選定してきたのが現状である。しかしながら、村山裕<1)>、岡本敬一<2)>らが指摘しているように、ウェンナー法による垂直探査法は、地盤が水平層状の地層構造を呈することを前提とし、かつ、大地の比抵抗値は深度方向にのみ変化し、水平方向には変化しないと仮定して解析するものであり、断層などの大規模な構造境界の近くで垂直探査を行った場合、一次元解析を行っても誤った答えを出す危険性を持っている。また、岡本敬一<2)>は電気探査により得られる比抵抗値は、主として土中水に含まれるイオン濃度や土中水の形を反映するものであり、水分子それ自体の分布の影響は受けるものではないと述べている。このような理由から、得られた比抵抗値のみで水の有無を判断し、井戸を掘削しても予期した量の揚水量が得られなかったという事例はよく聞くところである。本文は、上記欠点を除くために時間領域強制分極法を利用し、見かけ比抵抗、分極率、可充電率<3)>を測定し、これらの値を断面表示することにより、より精度の高い地下水の分布範囲、賦存量の推定を行うことを可能としたものである。本法については入江一彰<3)14)>がすでに一部発表しているが、新たに代表的な探査事例を記し、時間領域強制分極法による地下水探査の有効性と信頼性につき述べたものである。
- 一般社団法人日本応用地質学会の論文
- 1995-06-10