有明海筑後川河口域における冬季のクロロフィル蛍光と濁度変動
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概要
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筑後川河口域において濁度とクロロフィル蛍光の連続観測をノリ施業期の2002年9月から2003年4月初旬まで約半年間にわたって実施し,潮汐変動との関連を調査研究した。クロロフィル蛍光強度は高濁度の大潮干潮時に増大し,濁度と対応した大きな短期的増減を示した。しかし,濁度の低下する満潮時のデータで比較するとクロロフィル蛍光強度から推定される植物プランクトン現存量は,日射量が極端に低下した2002年12月後半および小潮時に塩分が低下した2003年2月を除くと,小潮時から中潮にかけて増大するが大潮時以降には安定または減少する傾向が認められた.小潮時には,表層塩分の低下(弱混合化・成層化)が進み,表層へ高栄養塩濃度の河川水が影響するとともに透明度の上昇による光条件の好転などにより表層での植物プランクトンの増殖が促進されたものと考えられる。一方,強混合となる大潮時は淫祀の巻き上がりにより透明度が低下し,植物プランクトンは光量不足や物理的分散作用(鉛直混合および沖合水との混合),さらに淫祀による凝集作用により現存量の増大が抑えられると考えられる。
- 日本海洋学会の論文
- 2004-03-05
著者
-
熊谷 香
福岡県水産林務部水産振興課
-
田中 勝久
(独)国際農林水産業研究センター水産領域
-
田中 勝久
水産総合研究センター西海区水産研究所
-
児玉 真史
水研セ中央水研
-
児玉 真史
水産総合研究センター中央水産研究所海洋生産部
-
藤本 尚仲
(株)シャトー海洋調査九州支店
-
田中 勝久
国際農林水産研究セ
-
児玉 真史
水産総合研究センター中央水産研究所
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