人間の物体認知における視点依存性と非依存性
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概要
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人間の物体認知に視点依存的特性と非依存的特性の両方が含まれる可能性を追求するため, 身近な物体のネーミング課題と新奇物体の学習再認課題を用いた二つの実験を行った. その結果, 人間の物体認知におけるプロトタイプは, 部品構成に関する表現を含んでおり, 与えられた景観から部品構成に関する情報が抽出できれば活性化される. しかし, その視点非依存性には限界があり, 最終的な認知のためには,プロトタイプと観察された景観との対応を心的回転によって確かめる検証過程が必要であることが指摘された. 身近な物体を用いた実験結果から, プロトタイプ活性化の度合が典型性評定や正答率に影響し, 検証過程に要する時間は反応時間の長短に反映されることがわかった. また, カテゴリー内変動に相応する形状変化をもつ新奇物体群の学習再認では, 検証過程が大きく反応時間を規定するが, カテゴリー間変動に相応する大きな形状変化をもつ物体群の学習再認では,物体全体の大まかな部品構成に関する情報によるプロトタイプ活性過程が重要であり, 詳細な検証過程は必要がないことが示唆された. このように, 特性の異なる二つの過程を想定すれば, 視点依存性・非依存性に関わる心理実験結果の対立点を融和させることが可能である.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1996-02-25
著者
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