圧電横効果を利用した降圧用トランス

概要

論文の詳細を見る
圧電トランスは, 電子部品の小型化の要求に伴い, ブラウン管のフライバックやFLインバータなどの高電圧電源用セラミックトランスとして注目されている. しかし, 従来の圧電トランスは高電圧を発生する昇圧用トランスがほとんどで, スイッチング電源などに用いる大電力用トランスとして実用化しているものはない. そこで, 筆者らは新規構造である圧電横効果を利用した積層型降圧用圧電トランスを開発した. 圧電横効果は駆動周波数を低くすることができるため, 圧電縦効果による不要振動の問題がなく, 周辺回路設計が容易になることが期待できる. 更に, 素子全体の入出力部の配置を任意に設定することができるため設計の自由度が高い. 本研究で方形状圧電セラミックスの長さ方向振動を利用したものについて検討を行った結果, 本トランスの変圧比は入出力部の積層枚数比を制御することによって, 0.1〜1.0に調節可能で, 伝送電力量は効率90%以上で18W/cm^3が可能であった. また, 長さ方向振動よりも低周波のすべり, ねじりなどに起因する不要振動をトランスの構造設計によって抑制することができた.
社団法人電子情報通信学会の論文
1997-10-25