金管楽器奏者の唇のモデル化について
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概要
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金管楽器の自励発振において奏者の唇が外側発振するものか、あるいは声帯類似発振するものかを実験的に検討している。マウスピース内音圧と唇の歪みを測定し、両者の位相差をラウンドスピーカー振動膜の近距離場での音圧特性に従って校正した後、マウスピース内音圧と唇の変位との位相差に変換する。この位相差の正負は声帯類似発振あるいは外側発振に対応する。マウスピースを付けた音響系(金管、共鳴管、非共鳴管)とマウスピースを付けないパイプに関する実験結果より、唇のモデル化についての結論を得た。金管楽器(フレンチホルンとトランペット)では唇開口の非線形音響インピーダンスが音圧波形とともに発音体制を決定しいてる。低次モードではそれが無視できるため、奏者の口腔とマウスピース間でのキャビティ・カップリングが起こり、入力インピーダンスがキャパシティブになり、唇は外側発振しやすい。一方、高次モードではカップリングは分離され、入力インピーダンスはイナーティブになり、唇は声帯類似発振しやすい。
- 1994-07-22
著者
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