シナプス背景活動の皮質神経細胞モデルの応答特性への影響
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概要
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皮質神経細胞は低頻度で自発的に発火する多くの神経細胞からシナプス入力を受けている。このような状況における情報処理の可能性を検討するため、興奮性および抑制性シナプス入力からなるシナプス背景活動の上に、信号入力として閾値以下の興奮性の同期シナプス入力をHodgkin-Huxley型の電位感受性を備えた神経細胞モデルに加え、その応答特性を数値シミュレーションによって調べる。その結果、信号入力によって引き起こされる発火確率が最大となるような膜電位揺らぎがあることが確認できた。次にこの現象のメカニズムをLeaky Integrate-and-Fireモデルを用いて解析する。この解析によって、シナプス背景活動によって閾値以下の膜電位分布の変化が引き起こされて応答確率の最大値が出現することが分かった。また、同じ入力を受ける神経細胞の集団を考えると、シナプス背景活動が存在することによって入出力間の相互情報量が増加することが確認できた。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2002-11-04