短期と長期の報酬予測に伴う脳活動のfMRI測定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
強化学習において「メタパラメタ」の設定は非常に重要かつ困難な問題である.本研究では神経修飾物質のセロトニンが報酬予測の時間スケールを決定するという仮説の検証に向けた準備実験を行った.長期と短期の報酬予測を行うタスクを用意し,実行中の脳活動をfMRIにより測定したところ,長期の報酬予測では視床下核,視床背内側核,淡蒼球などの基底核と,皮質では帯状回後部,前頭前野,頭頂後頭側頭連合野に顕著な活動が見られた.これに対し,短期の報酬予測では被核,帯状回前部に目立った活動が見られた。これらの結果は,時間スケールの異なる報酬予測は,異なるネットワークを介して行われていることを示唆していた。さらに強化学習理論に基づいた解析を行ったところ,長期の報酬の予測誤差に関連する部位は視床下核,淡蒼球であった.この結果は,大脳基底核の強化学習モデルを支持するとともに,さらに機能ごとに詳細化されたモデルを構築するうえで重要な手がかりになることと思われる.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2002-06-20
著者
-
銅谷 賢治
沖縄科学技術研究基盤整備機構
-
岡本 泰昌
広島大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経医科学
-
山脇 成人
広島大学医学部
-
銅谷 賢治
奈良先端科学技術大学院大学
-
岡本 泰昌
広島大学医学部神経精神医学教室
-
上田 一貴
広島大学大学院教育学研究科附属心理臨床教育センター
-
岡田 剛
広島大病院精神科
-
田中 沙織
奈良先端科学技術大学院大学
-
上田 一貴
広島大学
-
田中 沙織
奈良先端科学技術大学院大学:(株)国際電気通信基礎技術研究所
-
上田 一貴
広島大学大学院精神神経医科学
-
山脇 成人
広島大学保健管理センター
-
岡田 剛
広島大学医学部
-
上田 一貴
広島大学医学部
-
銅谷 賢治
(株)国際電気通信基礎技術研究所:沖縄新大学院大学先行的研究事業
-
上田 一貴
広島大学大学院教育学研究科附属心理臨床教育研究センター
関連論文
- モデルフリーとモデルベース戦略の課題依存的な選択(BCI/BMIとその周辺)
- 感覚情報の能動的低次元化による強化学習(機械学習によるバイオデータマインニング,一般)
- ストレスを感じる前頭前野 : ストレス適応破綻の脳内機構
- Sulpiride慢性処置によるラット前頭葉皮質初代培養細胞におけるNMDA誘発性Ca^流入増強作用
- 摂食障害における脳機能画像研究(シンポジウム:摂食障害研究の最前線,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))
- 12-083 身体画像刺激に対する摂食障害の反応性 : fMRI研究(摂食障害6,一般演題(ポスター発表),近未来医療を担う心身医学,第1回日本心身医学5学会合同集会)
- 8.fMRIを用いた身体イメージに関連した不快な言語刺激に対する脳の反応性の検討(一般演題,第31回日本心身医学会中国・四国地方会演題抄録)
- P-31 身体イメージに関連した不快な言語刺激に対する摂食障害の反応性 : fMRI研究(摂食障害,一般ポスター発表,情動ストレス研究の進歩と心身医学,第49回日本心身医学会総会ならびに学術講演会)
- 26.摂食障害患者と健常者における負の身体イメージ・負の情動に関連した単語と中性の単語の評価の検討(一般演題)(第26回日本心身医学会中国・四国地方会演題抄録)
- 一般演題 20 東海村中性子線被曝事故における事故後ストレス障害調査研究
- MRI研究によるうつ病の脳内機構 (特集 気分障害の神経心理学)
- ストレス適応の神経生理学的基盤
- 気分障害患者における血中グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)の検討
- セロトニンによるC6細胞からのGDNF (glial cell line-derived neurotrophic factor) 遊離増加作用
- Amitriptyline によるC6細胞からのGDNF産生遊離に対する細胞内情報伝達酵素阻害薬の影響
- ラットアストロサイトにおけるamitriptylineによるGDNF(Glial Cell Line-Derived Neurotrophic Factor)mRNA発現増加作用
- Amitriptyline による GDNF(Glial cell line-Derived Neurotrophic Factor) 遊離作用ラットグリオーマ由来培養細胞株(C6)を用いて
- アルコールの神経細胞内作用
- Differential display 法によるアルコール慢性投与誘導遺伝子の探索
- N18TG2細胞における熱ストレス後の cyclic AMP 産生と heat shock protein 72 の発現
- P-17 情動刺激に対する神経性無食欲症の反応性とアレキシサイミアの神経相関 : fMRI研究(摂食障害1,ポスターディスカッション,ストレス時代の『こころ』と『からだ』,第51回日本心身医学会総会ならびに学術講演会)
- バルプロ酸投与のBDNF及びTrk Bに対する影響
- Lithium Carbonate と Imipramine の併用慢性処置が Serotonin-2A 受容体関連行動に及ぼす影響
- 遺伝性てんかんモデル動物(NER)におけるセロトニン-2A受容体機能の検討
- Dexamethasone 慢性処置ラットにおける serotonin 受容体関連行動に対するL型 calcium channel 拮抗薬 nimodipine の影響
- 感情障害の病因と病態に関する生物学的検討
- IC-3 摂食障害患者におけるセロトニン機能異常 : 治療反応性との関連について(摂食障害I)
- Dexamethasone 慢性処置ラットに及ぼすLi_2CO_3の影響 : Serotonin-2A 受容体に関する検討
- DOI慢性投与によるDOI誘発性 wet-dog shakes の脱感作に及ぼす dehydroepiandrosterone の影響
- Dexamethasone 慢性処置ラットの行動におけるECSの影響
- Diazoxide 単回投与と Dexamethasone 慢性投与の高血圧自然発症ラット脳 Serotonin-2A受容体機能への影響
- LPS急性投与によるラットのセロトニン-2A受容体関連行動の変化
- グリオーマ由来培養細胞におけるトロンビン刺激性細胞内カルシウム動員系に対するリチウムの影響
- ラットにおける自発運動量の日内変動に対するリポポリサッカリド急性投与の影響
- ラットにおける体重の日内変動に対するリポポリサッカリド急性投与の影響
- S7-5 うつ病の病態と治療に関わる脳内基盤 : ストレス制御の視点から(Neuroimagingの新展開,シンポジウム7,ストレス時代の『こころ』と『からだ』,第51回日本心身医学会総会ならびに学術講演会)
- 覚せい剤精神病における治療薬物と副作用に関する臨床的検討
- 22.がんの病名告知に関する医学生の意識 : 卒前リエゾン精神医療実習の試み(第27回 日本心身医学会中国・四国地方会演題抄録)
- 自殺(うつ)対策専門委員会 平成20年度 自殺(うつ)対策専門委員会報告書 (広島県地域保健対策協議会 調査研究報告特集号(平成20年度))
- SVI-3 摂食障害における脳機能画像研究(シンポジウムVI 摂食障害研究の最前線,情動ストレス研究の進歩と心身医学,第49回日本心身医学会総会ならびに学術講演会)
- 自殺(うつ病)対策専門委員会 平成19年度 自殺(うつ病)対策専門委員会報告書 (広島県地域保健対策協議会 調査研究報告特集号(平成19年度))
- fMRIでみるうつ病の脳機能 (特集 fMRIと精神医学)
- うつ病の認知に関する神経基盤(シンポジウム : 情動形成とその異常の脳内機構-情動と心身相関のBlack Boxに迫る-,2006年,第47回日本心身医学会総会(東京))
- うつ病の認知に関する脳機能局在(心理学実験法の基礎的・臨床的汎用性を考える-精神医学・社会心理学のストレス脆弱性研究から-,第25回大会 シンポジウム2)
- メンタルヘルスケア対策特別委員会 職場のメンタルヘルスケアの推進(第5報)一般医のうつ病初期診療のレベルアップを目指して (広島県地域保健対策協議会 調査研究報告特集号(平成18年度))
- 大学病院精神科における取り組み--集団認知行動療法プログラムによる復職・社会復帰支援 (特集 うつ病からの復帰・復職をめざして)
- Functional MRI--うつ病の補助診断法としての可能性 (特集・統合失調症と感情障害の補助診断法の最近の進歩)
- うつ病を対象とした集団認知行動療法プログラムの有用性
- メンタルヘルスケア対策特別委員会 職場のメンタルヘルスケアの推進(第4報)地域自殺予防対策への展開 (広島県地域保健対策協議会調査研究報告特集号(平成17年度))
- 感情(気分)障害の精神病理と脳科学 (特集 情動の脳科学)
- 泌尿生殖器腫瘍患者の精神科コンサルテーション : 過去3年間で経験した症例を通して
- 悪性症候群 : 診断, 病態, 治療 : 最近の動向をふまえて
- 69. 摂食障害患者の摂食態度と感情との関連について(摂食障害II)
- リエゾンプログラムのがん患者の精神科受診率と精神症状の水位に及ぼす影響
- I-F-6 連続監視課題を用いたParkinson症患者の随伴陰性変動(CNV) : 重症度・導出部位と波形の特徴(基礎)
- ストレス社会とメンタルヘルス : 精神医学からみた21世紀医療の課題
- IIE-35 Pre-stroke Depressionとしての初老期・老年期うつ状態 : MRI上の潜在性脳梗塞の意義について(老年期)
- 痛み患者への精神医学的アプローチ
- 情動・行動の脳内機構に関するfMRI研究 : うつ病の病態解明に向けて(情動・行動の脳内機序に関する研究の進展)(2004年/第45回日本心身医学総会/北九州)
- ストレス適応の脳内メカニズム
- ストレスの適応破綻の脳内メカニズム : fMRIとMEGを用いた脳機能画像解析
- うつ病患者への医学-心理学統合的アプローチに関する研究
- ストレス事象の予測に関する脳機能画像解析 (あゆみ ストレス性精神障害の臨床と基礎:Up-to-Date)
- 空間的情報を含むマルコフ決定課題を用いた長期と短期の報酬予測に伴う脳活動のfMRI測定
- 短期と長期の報酬予測に伴う脳活動のfMRI測定
- うつ病の病態に関わる脳内基盤
- 線条体における入力タイミングに依存するカルシウム応答モデル
- P2-13 Big FiveモデルとDefault mode networkとの関連 : 安静時fMRIを用いた検討(ポスター発表)
- 生命科学と制御 : 《第13回》座談会「制御と生命科学」
- 強化学習エージェントによる協調行動とコミュニケーションの創発(シンポジウム特集)
- 教育講演 うつ病の認知に関わる神経生理学的基盤 (第15回認知神経科学会)
- 線条体シナプス可塑性の分子機構のシミュレーション研究(セッション3:『バイオモデリング,シミュレーション』)
- 生化学反応系のためのベイズ的システム同定法(機械学習によるバイオデータマイニング)
- 生化学反応系のためのベイズ的システム同定法(機械学習によるバイオデータマインニング)
- 生命科学と制御 : 《第12回》脳の目的関数とは何か
- Max-Min Actor-Criticによる複数報酬課題の強化学習(人工知能,認知科学)
- 行動学習データの強化学習モデルによる解析とその応用
- 行動学習データの強化学習モデルによる解析とその応用(コミュニケーション支援及び一般)
- 行動学習データの強化学習モデルによる解析とその応用(コミュニケーション支援及び一般)
- 近傍成分分析による行動指向的状態表現の獲得
- 複数の報酬によって与えられる拘束のもとでの強化学習(「機械学習によるバイオデータマインニング」及び「一般」)
- 複数の価値関数を用いた多目的強化学習
- 2A1-N-044 構造の異なる複数の学習器の相互作用を利用した強化学習システム(認知ロボティクス1,生活を支援するロボメカ技術のメガインテグレーション)
- 複数報酬のもとでの階層強化学習
- 重点サンプリングを用いた複数強化学習器の同時学習
- 強化学習と精神医学 (強化学習とその周辺)
- サイバーローデントプロジェクト
- 精神療法の理解に向けたニューロイメージングの応用--うつ病の認知行動療法を一例として (特集 認知神経科学と精神医学--イメージングと計算論)
- メンタルヘルスケア対策特別委員会 職場のメンタルヘルスケアの推進(第3報)管理監督者への啓蒙 (広島県地域保健対策協議会調査研究報告特集号--平成16年度)
- 平成21年度 自殺(うつ病)対策専門委員会報告書 (広島県地域保健対策協議会 調査研究報告特集号(平成21年度))
- 強迫性障害の薬物療法とセロトニン・ドパミン仮説
- 摂食障害における認知面の理解とアプローチ
- 遅延報酬選択における衝動性と抑うつ傾向
- 治療抵抗性うつ病の脳画像研究
- 平成22年度 自殺(うつ病)対策専門委員会報告書 (広島県地域保健対策協議会 調査研究報告特集号(平成22年度))
- 精神療法における認知・行動・情動の脳内基盤 : うつ病の認知行動療法を一例として (特集 精神療法における認知・行動・情動)
- 悲しみによる主観的な痛みの増強と脳機能の変化
- 遅延報酬の割引に対するセロトニンの効果 : 精神疾患の病態理解への応用
- 精神療法における認知・行動・情動の脳内基盤 : うつ病の認知行動療法を一例として
- P-15 集団CBTに参加したうつ病患者の思考・行動の探索的分析 : ワークシートの記述内容から(ポスター発表I,研究発表)