しきい値論理回路のエネルギー計算量
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概要
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しきい値論理素子によって構成されるしきい値論理回路は, 非常に古くから深く研究をされているが, 計算によって消費されるエネルギーという視点から見ると, 脳内で実際に見られるニューロンとしきい値論理素子には大きな違いがある. しきい値論理素子のモデルでは, 出力1と出力0を互いに対称に取り扱うのに対して, 実際の脳内のニューロンは"発火"をする時に大きなエネルギーを必要とするため, "発火する"という出力と"発火しない"という出力を同じように取り扱うことはできない. 実際に近年の生理学データから, 脳内で行われている計算は, 非常に少ないニューロンの発火回数で実行されているということが分かってきている. そこで本研究では, 回路の複雑さを測る新しいパラメータとして, しきい値論理回路モデルの計算過程で1を出力する素子の個数に着目し, その1入力あたりの平均を"エネルギー計算量"として定義する. その後, ある問題のクラスが1入力あたり平均O(log n)個の素子が1を出力することで, すなわち比較的小さなエネルギー計算量で計算可能であることを示す.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 2005-03-11
著者
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内沢 啓
東北大学大学院情報科学研究科
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内澤 啓
農林水産省構造改善局計画部資源課
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MAASS Wolfgang
Institute for Theoretical Computer Science Technische Universitat Graz
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Maass Wolfgang
Institute For Theoretical Computer Science Technische Universitaet Graz
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内沢 啓
東北大学大学院 情報科学研究科
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内澤 啓
東北大学大学院情報科学研究科
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