並列2接合を用いた100GHz帯SISミクサ

概要

論文の詳細を見る
作成が容易な大面積で小電流密度をもつSIS接合、すなわち大きなwR_nC_j積(例えば4以上)をもつSIS接合がミリ波帯やサブミリ波帯のミクサに広く用いられている。しかし,大きなwR_nC_j積はSISミクサの性能を損なわせる一因となっている。そこで、我々は、2つのSIS接合をインダクタンスを介して並列に接続した同調回路を考案し、これを用いて100GHz帯のSISミクサを製作した。この並列2接合による同調方式は、これまでに報告された同調方式と比べて、広い同調帯域をもつ、RFインピーダンス整合が取り易い、作成が比較的容易である、などの特徴をもつ。今回の100GHz帯SISミクサでは、スケールダウンによるサブミリ波帯への適用を容易にするため、新しいタイプの導波管・サスペンディドストリップ線路変換器を考案し、これを組み込んだ固定同調式の高帯域ミクサマウントを開発した。製作した100GHz帯SISミクサは、80から120GHzにわたって、DSB受信機雑音温度が40K以下というすばらしい性能を示した。最小の受信機雑音温度は約20Kであり、これはhν/kのわずか4倍の値である。
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-07-25