ボトルネック回線の速度向上におけるTCPスループットの簡易推定式

概要

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通信上のボトルネックとなっているような回線を有するネットワークにおいて, その回線速度を向上したときに, その回線を経由するTCP通信のスループットに与える効果を, 簡易に算出する方法を提案する.まず, TCP通信のスループット算出式として, TCPフロー制御のウインドウサイズの平均値と往復転送時間, パケット当りの廃棄率の関数で与えられるものを提案する.また, 往復転送時間の決定の主要因となっているルータでの待ち時間を, M/M/1/m待ち行列で近似した.この二つの式を連立させて回線速度向上時のスループットの変化を算出する.スループット算出式とルータモデルの妥当性を確認するために, ボトルネックとなっている回線の速度を変更したときの, TCP通信のスループットの変化の割合を, PPP及びイーサネットからなる実験ネットワークで実測した結果と比較した.本論文で提案するモデルは, 簡易であるにもかかわらず, 実測値とよく一致していることがわかった.また, 三重大学とSINET間のネットワークにも適用し, 回線速度向上時のTCPスループットへの効果を示し, 検証を行った.本論文で得られた結果は, ネットワーク設計において, ボトルネックを解消するために必要とされる回線の速度を推測する場合に, 有効な方法と考えられる.
社団法人電子情報通信学会の論文
2000-06-25

ボトルネック回線の速度向上におけるTCPスループットの簡易推定式

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