81. HRP注入法における拡散防止について : HRP、不完全アジュバント混合乳濁液注入による

概要

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現在神経投射路の証明に用いられているHRP (horseradish peroxidase)法における欠点はHRPが目標とする神経核の外部にしばしば拡散することである。そこで、われわれは、出来る限りその拡散を防ぐと共に、より多量のHRP溶液を一定の部位に注入するためHRP液と不完全アジュバントの混合乳濁液(HRP-IA液)を注入する方法を試み一応の結果を得た。ラット尾状核に25%HRP溶液と25%HRP-IA液の2種類を微細ガラス電極を用い一定圧持続注入しその結果を比較した。液量はそれぞれ0.1μl〜0.7μlとし、注入時間は20〜80分とした。注入48時間後、動物は4%ホルムアルデヒドで注入固定を行い、脳前頭断連続切片を作成しGraham-Karnovsky法で処理の後鏡検した。0.1、0.3、0.5μlの注入量では、両溶液の注入部位ではHRP-IA液の注入範囲はHRP溶液のそれと比較し1/2〜1/4の褐色反応部位として確認された。なお、0.7μl注入においては、HRP溶液は尾状核にとどまらず、大脳皮質にまで拡散が見られたが、HRP-IA液では注入部位は尾状核に限局していた。また、この2種の溶液注入により、黒質新線条体路の起始細胞である黒質の神経細胞は共に陽性反応を示した。
日本組織細胞化学会の論文
1978-11-01