56. Butylated hydroxytoluene(BHT) 投与マウスにおける肺胞上皮細胞Peroxisomeの細胞化学的研究

概要

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BHTによる肺障害は, II型肺胞上皮細胞がCell transformation (metaplasia)によってI型細胞を再生していくことで修復されることを報告した。そこでこのcell transformationをさらに確実に立証するべく, II型細胞のperoxisomeを指標としてその消長を追跡した。マウスにBHT(400mg/kg)を投与して後1〜9日目に気管よりglutaraldehyde溶液を注入, 肺の固定を行なった。I型細胞の障害の後, 立方形のII型細胞が扁平化しつゝ露出した基底膜を覆い始めると, peroxisomeは数の減少と共に基質が不明瞭になり電子密度の低下がみられた。この時catalaseのDAB酸化能(DAB, 0.1%; H_2O_2, 0.01%; pH9)も低下の傾向を示した。その後, 新たに出現した胞飲小胞と減少したperoxisomeを同時に有するII型からI型への移行型の細胞が観察され, 完全にI型と同定し得る細胞においても, 初期には高頻度にperoxisomeの残渣を認め得た。核膜や小胞体のperoxidase活性(DAB, 0.1%; H_2O_2, 0.01%; pH7)は再生されたI型細胞に残っており, 時間と共に減衰した。以上の結果は, 肺胞上皮系ではII型細胞がI型細胞にtransformationする直接的な証拠を与えている。(カナダMRCの助成金による。)
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20