30. 色素の細胞内取り込みに対する温度の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
培養細胞の色素取り込み過程を研究する目的で, 各種色素の取り込みに対する温度の影響をまず調べた。FL細胞はEDTA処理でガラス壁より剥離し, 色素含有溶液に浮遊させた。染色細胞を光学顕微鏡で観察した。酸性色素のエリスロシンBによる染色細胞数は, 血清存在下では高濃度溶液によっても増加しなかった。無血清37℃溶液では, 高濃度になるにつれ, 染色細胞数は増加したが, 7℃では増加しなかった。染色細胞は色素を含まぬ溶液に移しても容易に脱染色しなかった。塩基性色素による染色細胞数は血清の有無により変化しなかった。すなわちニュートラル・レッドは37℃高濃度でび漫性に, 低濃度で限局性に取り込まれ, 両濃度ともに7℃で抑制された。ゲンチアナ・バイオレッドは, び漫性に細胞を染色し, 7℃でも抑制されなかった。両色素による染色細胞は, 色素を含まぬ溶液に移すと37℃で脱染色し, 7℃では脱染色しにくかった。FL細胞には, 温度依存性からみて少なくとも数種の色素取り込み過程が考えられる。
- 日本組織細胞化学会の論文
- 1977-10-20