1. 辺縁性歯周炎の酵素組織化学的研究 : ヒト炎症歯肉における脱水素酵素活性の変化と局在について
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概要
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従来、ヒト歯肉の脱水素酵素活性については数多くの報告がなされているが、多数の酵素についてこれを系統的に検索したものは数少ない。そこで今回、私は炎症歯肉における酵素活性の変化や局在について検索した。実験材料としては、本学歯周病科外来を訪れた辺縁性歯周炎罹患患者から初診時ならびに歯周疾患治療時に採取された歯肉を用いた。これを速かにドライアイスで凍結させ、クリオスタット連続切片とし、LDH、MDH (NAD-)、ICDH (NAD-)、GOH、ADH、α-GDH、β-HBDH, G6PDH、6PGDH、MDH (NADP-)、ICDH (NADP-)、NADHDH、NADPHDH、SDHの組織化学反応を行ない、主として光顕的レベルで検討を行なったところ、次のような知見を得た。初診時と歯周疾患治療時に採取された歯肉の間には明瞭な酵素活性の差は見出せなかったが、ペントース回路に関連する酵素活性は初診時に採取された歯肉においてやや活性が強い傾向を示した。このことは初診時には炎症の程度が強かったが、歯周疾患治療につれて炎症の程度が軽減されたものと思われる。
- 1977-10-20