ソフトウェア更新時におけるディグレード防止のための効率的テスト方法について
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概要
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ソフトウェアは,バージョンアップ(機能追加)やリビジョンアップ(不具合修正)という形で更新を重ねながら機能的な充実を図るものである.しかし更新時に,それまでに正常に動作していた機能が動作しなくなってしまうディグレードが出現することが多々あり,大きな問題を引き起こすこともある.したがって,ソフトウェアの更新時には,ディグレードが出現しないようにすることが,非常に重要である.そこで,ソフトウェアの更新時においてディグレードの出現を防止するために,単体テストに着目した.本研究では,まずプログラム中の変数をその影響範囲によって分類し,その分類を利用したテスト範囲の限定方法を提案した.次にリビジョンアップを行ったプログラムに対してバグを意図的に埋め込み,そのバグの影響としてディグレードが出現したモジュールを抽出できるかどうかについて検討した.ここでは,ディグレード原因を分類して,代用特性としてのバクとの対応表を作成し,バグを埋め込む際の基準に利用した.そして,実際に開発されたプログラムにおいて,バージョンアップ時に出現したディグレードを検出できるかどうかについての検討を行った.その際,修正更新に伴うディグレードを含んだソースプログラムが入手できなかったので,各プログラムに関するバグやディグレードの情報を利用して,バージョンアップ時のテスト前の状態を作り出し,それを使用した.結果として,一部のディグレードにつながるバグは検出できなかったが,テスト範囲を6割程度にまで減少することができた.また,提案したテスト範囲の限定方法を自動的に行うことができるツールを作成した.これは,更新前後のソースプログラムを入力して,テストするべきモジュールの名称などを出力するものである.このツールを利用することによって,テスト時の作業を削減することができた.個のような結果を踏まえて,テスト範囲の限定手順の効果についてまとめると,「ソフトウェア更新時において,約6割のモジュールをテストすることによって,9割程度のバグを検出することが可能である」ということができた.
- 社団法人日本品質管理学会の論文
- 1994-04-15
著者
-
菅野 文友
東京理科大学工学研究科
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菅野 文友
東京理科大学工学部経営工学科
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菅野 文友
東京理科大学
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冨士 仁
NTTソフトウェア研究所
-
冨士 仁
東京理科大学工学部経営工学科菅野研究室
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菅野 文友
提供平成大学情報学研究所
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富士 仁
Nttソフトウェア研究所
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