棒の長さ知覚課題におけるダイナミックタッチの発達的研究
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概要
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手に持ったものを振ることによって,対象の物理的特徴が視覚に頼らずとも知覚可能であるという。本研究は,このダイナミックタッチと呼ばれる触の探索について,知覚系(Gibson, 1966)の概念に従い,発達的に検討をおこなった。探索を検討するにあたり,集団内および個体内での多様性に注目し,システムがより安定した接触形態を模索する発達過程として捉えた。実験は小学生児童21人と大学生14人を対象に棒の長さ知覚課題を設定し,長さを探索する際の棒の持ちかたと振りかたを観察した。結果より,子どもでは特に棒の把握形態に,大人では棒を振る方向について個体内での変動が大きいことが示された。対象を振って知覚するダイナミックタッチの探索は,大人において洗練が進む過程にあり,子どもにおいては振りかたか探されはじめる時期にあると考えられた。最後に,今後の検討課題に関する議論がなされた。
- 日本発達心理学会の論文
- 2003-08-15
著者
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清水 武
Graduate School Of Human Sciences Waseda University
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根ケ山 光一
早稲田大学人間基礎科学科
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清水 武
早稲田大学人間科学研究科・日本学術振興会特別研究員
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根ケ山 光一
早稲田大学人間科学部
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清水 武
早稲田大学人間科学研究科
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