Loevingerによる自我発達理論に基づいた青年期における学年差・性差の検討
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概要
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本研究は,Loevingerの提唱した理論に基づき,日本の青年期における発達傾向を検討した。小学校5年生から高校3年生男女799名を対象とし,ワシントン大学文章完成テスト(WUSCT)を実施した。その結果,個人の総合評定(TPR)を累積度数分布法で算出すると,衝動的水準(E2;I-2),自己保護的水準(E3;Delta),自己保護同調的水準(Delta/3),同調的水準(E4;I-3),自己意識的水準(E5;I-3/4)が見られ,学年が上昇するごとに,自我発達水準の高い者の割合が増加した。また,同学年の男女を比較すると,中学生以上で女子の方が自我発達水準の高い者の割合が多く,自己意識的水準(E5;I-3/4)については,女子では中学2年生から存在するのに対して,男子では高校1年生まで見られなかった。個人のTPRを合計得点(ISS)で検討すると,やはり学年の上昇とともに,得点の増加が見られた。そして,どの学年においても,女子の方が男子より得点が高かった。以上のことから,日本においても,青年期において学年の上昇に伴って自我発達水準の上昇が見られ,性差があることが示唆された。
- 2002-08-10