アユ精子の運動開始を導くイオン環境の変化
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概要
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アユ精子の運動開始がどのような要因により起こるのかを調べる目的で, 種々の組成の等張溶液で精液を希釈し, 希釈直後の運動精子比を測定した。精漿や人工精漿ではほとんどの精子が運動を行わなかった。mannitol等張溶液では精子は活発な運動を行ったが, これにKCl又はNaClを添加すると濃度に依存して運動開始が抑制された。一方, CaイオンはKやNaイオンの抑制作用に対して拮抗的に働き, 20mMの濃度では精子の運動率は94.5%に達した。また人工精漿の酸性化(pH6.0)によっても高い運動率が導かれた(76.3%)。以上の結果から, アユ精子の運動は, 精漿中では高濃度のKとNaイオン, 低濃度のCaと水素イオンといった種々の要因により抑制されていることが明らかとなった。
- 公益社団法人日本水産学会の論文
- 2000-01-15
著者
-
太田 博巳
近畿大学大学院農学研究科
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池田 和夫
水産庁養殖研究所玉城分室
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辻 将治
三重大学生物資源学部
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池田 和夫
水産庁養殖研究所
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太田 博巳
水産庁養殖研究所
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太田 博巳
Department Of Fisheries Faculty Of Agriculture Kinki University
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