高齢者尿失禁の治療成績

元データ 1992-05-20

概要

高齢者尿失禁の診断,治療成績および問題点を,外来患者を中心に検討した.対象患者は,尿失禁を主訴として受診した60歳以上の患者で,60歳から91歳,平均72.9歳,男性24例,女性39例の63例である.尿失禁は,切迫性尿失禁44例(69.8%),腹圧性尿失禁10例(15,9%),溢流性尿失禁5例(7.9%),切迫性+腹圧性尿失禁混合型4例(6.4%)であった.切迫性尿失禁の原因は不安定膀胱63.6%,神経因性膀胱(過活動型膀胱)36.4%で,神経因性膀胱の原因は脳血管障害が大多数を占めた.外来患者54例(85.7%),入院患者9例(14,3%)で,13例(20.6%)の痴呆患者を含んだ.問診,理学的所見検査後,排尿記録にて排尿状況を診断し,尿流量計,膀胱内圧測定,残尿測定など尿流動態検査にて診断を確認した.治療は,薬物治療,手術治療,清潔間欠導尿,行動訓練を駆使して,積極的に行った.成績は,尿失禁消失52.4%(尿失禁回数15.0±2.6回/日から0),改善30.2%(5.1±2.3から1.2±0.8),やや改善7.9%(3.4±1.4から2.4±1.4),不変9.5%(8.2±2.3から8.3±2.2)と82.6%に良好な成績が得られた.治療失敗因子として,高度神経因性膀胱(過活動型),痴呆,身体運動障害が考えられた.高齢者尿失禁は,対象群によっては高い改善率が期待でき,積極的に治療すべきと考えられた.

著者

加藤 久美子 名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科
吉川 羊子 名古屋大学
後藤 百万 名古屋大学
加藤 久美子 女性泌尿器科医の会
斉藤 政彦 名古屋大学泌尿器科学教室:(現)小牧市民病院泌尿器科
斎藤 政彦 医療法人宏潤会大同病院健康管理科
三宅 弘治 碧南市民病院泌尿器科
斎藤 政彦 碧南市民病院泌尿器科
加藤 久美子 碧南市民病院泌尿器科
近藤 厚生 碧南市民病院泌尿器科

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