コンピューター断層撮影(CT)を利用した成人水腎症における腎保存手術の適応基準の検討

概要

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(背景と目的)小児の水腎症においては腎の成長と患者の将来を考慮し,できる限り腎保存が追求されている。これに対し成人水腎症は腎機能の回復能の予測によって保存的手術あるいは腎摘除術のいずれかが選択される。高度水腎症における腎機能回復の予測は難しいため,侵襲をともなう経皮的腎痩造設後に患側腎の腎尿成分や尿量等を検査することで判断されることもある。これに対し,広く普及し侵襲の少ない造影CTを用いて成人水腎症の腎保存手術の適応の有無が判断できないかと考え,その適応基準について検討した。(対象と方法)1986年4月から1995年3月までに名古屋市立大学病院泌尿器科および安城更生病院泌尿器科において腎保存的手術および腎適除術を施行した成人水腎症で術前に造影CTを施行した14例14腎を対象とした。腎保存手術の適応基準となりうる造影CTの特徴をretrospectiveに検討した。(結果)造影CTを用いた成人水腎症の腎保存手術の適応基準は,(1)腎実質が極めて非薄化していても造影良好な腎実質部位が散在していること。また(2)さらに腎杯への造影剤の排泄が認められること,の条件を満たすものであった。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1997-12-20