脊髄髄膜瘤術後に遅発性に発症した脊髄係留症候群の泌尿器科的検討

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(目的)出生時に整復術を受けた脊髄髄膜瘤84例のうち,下肢機能や尿路機能の劣化を認め,遅発性の脊髄係留症候群として,係留解除術がなされた14例(男6例・女8例,3〜15歳,平均8.8歳)の泌尿器科的検討を行った。(結果)泌尿器科的劣化で発見されたものが3例,整形外科的劣化で発見されたものが11例であった。14例中8例(52.7%)に尿流動態検査で尿路機能の劣化が認められたが,術前に劣化を診断できたのは5例であり,残り3例は術後の尿路機能の改善から泌尿器科的劣化の存在が同定された。泌尿器科的劣化による自覚症状の変化は乏しいが,無抑制膀胱収縮の顕性化を4例(80%)に認め特徴的な所見てあった。係留解除術後も全例が神経因性膀胱として尿路管理の継続を必要としたが,術後に尿路機能がさらに悪化した症例はなく,6例ではドライタイムの延長,VURの消失,無抑制収縮や膀胱コンプライアンスの改善など尿路管理上有利な変化が経験された。(結語)本来の神経困性膀胱の陰となるため徐々に増悪する尿路機能障害の同定は容易ではないが,遅売性の脊髄係留症候群の早期発見には,注意深い,臨床経過の追跡が不可欠と思われた。また,遅発性の脊髄係留症候群においても係留解除術の有用性が示唆された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1996-10-20

脊髄髄膜瘤術後に遅発性に発症した脊髄係留症候群の泌尿器科的検討

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