腎結石の増大に関与する因子の検討

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尿路結石の増大に関与する因子を検討した.まずX線写真より結石の体積を予測するため102個の手術的に摘出または自排した結石を用いて,X線写真における結石長径(a)と短径(b)を求め,結石体積を推測する式を求めたところ,径2cm以下の結石について体積=0.43(πab(a+b))/12+0.04が最も相関していたが,径2cm以上の結石では誤差が大きくなった.したがってこの式を用いて径2cm以下の結石で6カ月以上経過観察し,基礎疾患および尿培養陽性例を除いた104症例136結石を対象とした.対象結石はその後手術または自排により93例が成分の確認が可能であり,蓚酸カルシウム結石36結石,蓚酸カルシウムと燐酸カルシウムの混合結石54結石,蓚酸カルシウムと尿酸の混合結石3結石であった.これらについて結石増大に関与する因子を年間増大率および年間増大量を指標にして検討した.男性は女性に比べ増大しやすく,腎内結石の位置では腎盂は増大しやすかった.増大率および増大量を不変群,増加群の2群に分けて比較したところ,尿中カルシウム排泄量は増加群で大きく,尿中マグネシウム/カルシウムは増加群で低かった.尿中尿酸と結石の増大との関連は見い出せなかった.以上より宿主側因子として男性,結石側因子として腎盂結石,および尿化学としては尿中カルシウム排泄量の大きいこと,および尿中マグネシウム/カルシウムの低いことが結石増大の危険因子と考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1994-11-20

腎結石の増大に関与する因子の検討

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