DNA-RNA顕微蛍光多重測光法を用いた膀胱腫瘍生物学的悪性度の検討
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概要
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落射蛍光測光顕微鏡を用いて,腰胱移行上皮癌109例の膀胱洗浄液中剥離細胞のDNA量,RNA量を測光定量した.1検体につき200〜300個の細胞を測定してヒストグラムを作成し,DNA index(DI),RNA index(RI)を求めた.DNAがaneuploidであるか,平均DNA量が2.44以上を腫瘍ありとした場合,109例中83例(76.1%)が診断可能であった.一方,RNA量の診断的価値は比較的低いものと考えられた.また,腫瘍の組織学的悪性度,深達度が進むに従ってaneuploidを示す症例が増え,DI,RI共に高値を示す傾向が認められた.表在性膀胱癌(Ta,T1)のうち,2年以内に再発が認められた30例は,2年以上再発が認められなかった10例に比し,RIは有意に高値を示していた.すなわち,RNA量測定は術後再発予測に有用と考えられた.また,表在性膀胱癌のうち,浸潤性となった6例は,gradeが高く,粘膜固有層への浸潤を示し,DI,RI共に高値を示していた.しかし,RNA量にて将来浸潤癌へ進展することをも予測可能がは症例数,観察期間共に少なく不明である.診断時または膀胱全摘除術後1年以内に遠隔転移が認められた8例のgradeは高く,DIは高値を示していたが,術後1年以上遠隔転移が認められなかった8例との間には有意差は認められなかった.一方,遠隔転移が認められた8例のRIは有意に高値を示しており,RNA量の高値は遠隔転移の危険因子である可能性が示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1991-04-20
著者
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