尿比重,尿量の経時的変化 : 24時間連続測定による検討
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概要
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24時間連続で尿比重,尿量,尿の移動平均量を測定した.測定にはテルモ尿比重monitor,尿量monitor,12打点記録計を用いた.血液生化学上肝腎機能が正常で,心肺機能に問題なく,代謝性疾患なども認められない3症例を対象とした.食事は一般常食に準じた.食事含有水分量は1,400mlで全量摂取を原則とした.食事以外の水分摂取は水のみとし,特別の水分制限は施行せず飲水は自由とした.利尿効果のあるものは避け,果汁成分も除外した.検査施行中はあらゆる薬剤の服用は行なわず,喫煙習慣のある症例は禁煙とした.連続測定したdataを分析すると尿比重の変動の幅は老年者より若年者の方が大きいようであった.変動の仕方も老年者に比べ若年者の方がよりrhythmicalであった.尿排泄ultradian rhythmを尿の移動平均量から見ると10分から80分前後で,年齢による差は設められなかった.尿排泄circadian rhythmの検討は,水分摂取自由の条件でも症例固有のrhythmが観察された.今回の検討では全て健康例で,腎機能の指標となるmarkerが正常範囲内であった.しかし1例に昼夜逆転例とも思われる尿排泄circadian rhythmを認めた.本症例が病的なものか,あるいは正常範囲内のものであるかは今後の検討を待たなければならない.以上のように各症例固有の尿排泄circadian rhythmが存在し,このrhythmを検討する事は腎機能検査の一法として利用できるようにも思われ興味深いと思われた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1986-07-20
著者
-
岡戸 三枝
帝京大溝口
-
濱田 吉通
小川赤十字
-
岡戸 三枝
帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科
-
松本 〓
帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科
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濱田 吉通
帝京大学医学部附属溝口病院泌尿器科
-
松本 〓
小川赤十字
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