Ureteral Crossover Method : 第1報 新しい膀胱尿管逆流防止術の実験的研究
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概要
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新しい膀胱尿管逆流防止術 : ureteral crossover法を考案し、雌雑種成犬13頭を用い、本術式の安全性と有効性について検討した。術式は、両側の粘膜下トンネルを対側尿管口の頭側外側に向かって作り、2本の尿管を膀胱後三角部で交叉させるものである。術前、術後(3ヵ月と6ヵ月)の時点で、膀胱造影、排泄性尿路造影、血液生化学検査を施行し、その推移を検討した。さらに術後6ヵ月目に10頭の粘膜下尿管長を測定、11頭を屠殺し、排尿筋と尿管交叉部の病理学的検索を施行した。(1)術後6ヵ月目で、排液性尿路造影上、上部尿路が正常に保たれたのは26腎尿管の内19腎尿管(73%)であった。残る4腎は無機能腎となり、3腎尿管は拡張所見を示した。術後に膀胱尿管逆流の発生を1尿管にのみ認めた。(2)手術成功犬9頭の血液尿素窒素、クレアチニン、Na、K、Clの各値は術後いづれも正常範囲内にとどまった。(3)手術成功犬ではコントロール犬に比し、粘膜下尿管長は有意に延長した。(4)上部尿路が正常に保たれた実験犬の尿管交叉部の病理組織像は、粘膜側尿管、漿膜側尿管共に正常構造を有し、尿管交叉による悪影響は認められなかった。上部尿管の荒廃した犬では尿管膀胱移行部に狭窄が認められ、一部では粘膜下尿管が消失しており、これらの原因は病理解剖の結果から、尿管剥離に際して尿管壁栄養血管を損傷したこと、及び排尿筋裂孔部の縫合過剰によるものと推測された。
- 1984-07-20
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