膀胱筋電図に関する基礎的問題の検討
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概要
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膀胱筋電図導出における最大の問題点は,排尿時膀胱壁と電極とがずれることによって生ずる mechanical artefactが混入することであり,これをいかにして小さくできるかという点に絞られる.近年時定数を0.03とし低い周波数帯域に含まれる artefactを除去した high frequency EMGが排尿時膀胱筋電図として報告される様になった.しかしこの high frequency EMGではその電位が10〜30μVp-pと小さいため,交流雑音,骨格筋および尿管活動電位などが混入しやすい.そこで本研究では,まず,増幅器に改善を加え,入力方式を平衡差動入力としたうえ,シールドドライブ法を併用し,交流雑音の混入を防止した.また時定数は0.03secではなく,低い周波数帯域に含まれる artefactをより完全に除去できる様にしゃ断周波数 f_0=5Hz, 1/2f_0にて24dB/octの減衰特性をもつハイパスフィルタを使用した.動物実験として,成犬を用い,排尿時の膀胱筋電図導出を試みた.すなわち,無処置の排尿時および尿道結紮時,膀胱壁熱変性時などにおいて導出された波形を比較検討し,混入する可能性のある mechanical artefact4項目のうち3項目を否定し得た.したがって,この基礎研究により,本来の排尿時膀胱筋電図を得るための基本的問題点の一部を解決し得た.
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