東北日本上部白亜系の浅海-非海成層に見られる堆積シーケンスの累重様式
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概要
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東北日本の上部白亜系浅海-非海成層の中で, 1) 中部蝦夷層群三笠層, 2) 双葉層群, 3) 久慈層群, 4) 函淵層群について, それらの堆積相, 堆積体, 堆積シーケンスの累重様式を比較した。各層の地質年代は大型化石層序から, 1) 末期アルビアンから後期チューロアニン, 2) 前期コニアシアン〜前期サントニアン, 3) 前期サントニアン〜前期カンパニアン, 4) 後期カンパニアン〜前期マストリヒシアンである。双葉層群と久慈層群が前期サントニアンで時代がオーバーラップする。堆積相は扇状地, 河川平野, 潮汐低地, 海浜, 外浜, 内側〜外側陸棚に及んでいる。平均堆積速度(層厚/時代)は久慈層群(0.66 m/10 ka)を除くとおおよそ1 m/10 kaと見積もられる。いずれの地層もそれぞれ, 相対的海水準変動によって形成された2〜4つの第3次堆積シーケンスからなり, さらに幾つかのパラシーケンスを含む。堆積シーケンスの平均期間は1〜4 m.y.の範囲におよび, 双葉層群で最小(1 m.y.), 函淵層群で最大(4 m.y.)となる。堆積シーケンスの累重様式とシーケンス境界・堆積体境界面の時期はHaq曲線(汎世界的サイクルチャート)の振動パターンとよい類似性が認められる。地質学的背景の異なる4層のいずれも平均堆積速度でよく似ていることから, 4層の堆積様式は地域的構造運動ばかりでなく, ユースタシーにも大きく影響を受けていた可能性がある。
- 1997-06-30