吉備高原,輝岩ノジュールのラメラ輝石についてのプローブ分析
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概要
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吉備高原には,荒戸山,明神山など,アルカリ玄武岩の小ドームがしられている。これらのアルカリ玄武岩には,しばしば,超苦鉄質岩ノジュールや巨晶輝石がふくまれる。このうち,カンラン石をふくみ,古銅輝石を主とする輝岩ノジュールと単斜輝石巨晶について,輝石の離溶ラメラの化学組成をプローブ分析により検討した。古銅輝石に発達するラメラ単斜輝石は,Al_2O_3,TiO_2,Na_20が比較的おおくふくまれ,Ca_<43>Mg_<47>Fe_<10>の組成をもつ。半自形古銅輝石(Ca_<2.5>Mg_<81>Fe_<16.5>)の間隙をうめる,少量の単斜輝石は,ややCaに乏しく,Ca_<40>Mg_<49>Fe_<10>,そのラメラはCa_3Mg_<81>Fe_<16>である。単斜輝石巨晶は,ややFeにとみ(Ca_<41>Mg_<46>Fe_<13>),そのラメラは,Ca_3Mg_<77>Fe_<20>である。これらの分析結果は,離溶が進行する過程で,Caのみならず,Fe,Al,Ti,Na等のイオンが単斜輝石へ濃集していることをしめしている。Caにとむ単斜輝石相には,10パーセント以上のCa-チエルマック分子と数パーセントのヒスイ輝石分子が算出される。このことは離溶が地殻の比較的深いところで生じたことを示唆する。WOOD and BANNO (1973)の方法に従って求めた,離溶が生ずる以前の組成として推定された輝石間の平衡温度は11600℃で,ラメラーホスト間では,これより約100℃低い値をしめす。
- 日本地質学会の論文
- 1974-09-30
著者
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