エクアドルの最新世より得た大型齧齒類 Hydrochoerinaeの新屬に就て
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概要
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本化石はエクアドル國太平洋岸サンタ・エレナ半島, ラ・リベルター附近の崖に露出するデルタ堆積中の化石帶に發見さる。本化石帶の時代はPleistoceneに屬し, 筆者はβ化石帶と呼ぶ。化石帶の厚さ約50cm, アスファルトの存在により化石は茶褐色を帶ぶ。隨伴せる動物群は主として草原性にしてNeohippus・Protauchenia・Smilodon・Protolycalopex・Palaeospeothus・Palaeoodocoileus・Megathrium・Mylodon・數種の小型齧齒類・其他鰐・龜・多數の昆蟲・現棲種の鳥類・蛇・蛙等發見さる。化石は大臼齒を完全に有する左側下顎骨1個及び3個の分離せる下顎臼齒にしてCaviidae科の亞科Hydrochoerinaeに屬す。著者は本化石によりProhydrochoerus sirasakaeなる新屬新種を創れり。現生Hydrochoerus屬は水中及び濕地に棲息し, 短頭, 短躯四肢短し。齒隙は主顎に於て齒列より短し。Protohydrochoerus屬は草原性にして, 頭骨及び四肢長く, 齒隙は齒列より長し。Hydrochoerus及びProtohydrochoerusに於てはlamellaeに狹き連絡あるもProhydrochoerusは純然たるelasmodontなり。齒隙及び齒の構造より見てProhydrochoerusはHydrochoerus及びProtohydrochoerusの中間型なるべし。本稿をエクアドル・エスメラルダス州に於て調査に從事中不幸にも犠牲となりし故白坂虎吉技師の靈に捧ぐ
- 日本地質学会の論文
- 1941-04-20
日本地質学会 | 論文
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