位相差顕微鏡所見によるホルムアルデヒドとグルタールアルデヒドの細胞毒性の検討
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概要
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ホルムアルデヒドとグルタールアルデヒドを低濃度で培養細胞に作用させ, その影響を位相差顕微鏡を用いて観察した.細胞はHeLa株, 培養液はイーグルMEMに仔牛血清3%を加えたものを用いた.ほぼ完全なセルシートにトリプシン処理を行って細胞浮遊液を作り, これをRoseチャンバーに注入し, 単層形成を待って中の培養液を除去し, ホルムアルデヒドまたはグルタールアルデヒドを1 : 1, 000, 000, 1 : 10, 000, 1 : 100の割合になるように, それぞれ培養液中に稀釈したものと交換した.その後24時間および48時間培養を行った時点で, 細胞形態の観察を行った.位相差顕微鏡像において細胞形態は5種類に大別できたので, 正常な細胞をAタイプ, 僅かに萎縮し辺縁部の単純化が認められるものをBタイプ, 球形胞状物やその破裂残部を生じたものをCタイプ, 著しく収縮し球体化したものをDタイプ, 細胞全体の完全な破壊を来たしたものをEタイプとして, 各タイプに分類される細胞数とその百分率を求めた.対照は, 薬物を含まない培養液を用いて同様に操作したもので, ほとんどの細胞はAタイプであった.ホルムアルデヒドもグルタールアルデヒドも100万倍稀釈においては対照との間に差異はほとんど認められなかった.1万倍では, 両薬物とも最も著しい形態変化を示し, ホルムアルデヒドではCタイプ, グルタールアルデヒドではD, Eタイプが大部分を占めた.100倍では両薬物とも細胞形態に対する影響はむしろ少くなり, A, Bタイプが多かったが, 細胞は固定されているようで, 培養時間が長くなっても細胞数の増加は見られず, A, Bタイプは次第に減り, 代りにC, D, Eタイプが増加した.以上により, 両薬物の培養HeLa細胞に対す最小致死濃度は, いずれも100万倍と1万倍の間にあることが明らかとなった.また, 両薬物の細胞毒性に蛋白凝固変性作用以外の機序も関与することが示唆された.
- 1985-02-25
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