ラット外分泌腺筋上皮細胞の走査ならびに透過電顕による比較形態学的研究
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概要
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本研究のために新しく考案した酵素-塩酸法を用いて, ラットの舌下腺, 顎下腺, 耳下腺, 授乳期乳腺, 眼窩外涙腺の筋上皮細胞を走査電顕下に可視化し, これら各腺の筋上皮細胞間に, 形態的差異があることを明らかにした.又, 透過電顕観察により, 筋上皮細胞相互間および筋上皮細胞と腺細胞の間の形態的関係にも, 腺の種類による違いがあることが明らかとなった.以下, 今回得られた所見の要旨を述べる.1 舌下腺, 顎下腺, 授乳期乳腺, 眼窩外涙腺の終末部には, その基底面に筋上皮細胞が存在していた.しかし, 耳下腺の終末部には, 筋上皮細胞の突起のみしか認め得なかった.2 舌下腺, 顎下腺, 眼窩外涙腺の筋上皮細胞は, 中心の細胞体から多数の突起を放射状に出して, いわゆる"星形"を呈していたが, 授乳期乳腺のそれは, 突起の数が少なく, やや紡錘型に近い形態を有していた.3 単一終末部あたりの筋上皮細胞数は, 舌下腺で2∿4個, 顎下腺で2∿3個, 授乳期乳腺で4∿6個, 眼窩外涙腺で1∿3個であった.4 筋上皮細胞は, それらの突起で互いに接触し, 終末部基底面にnetworkを形成していた.このnetworkが終末部基底面を覆う割合は, 舌下腺48%, 顎下腺25%, 授乳期乳腺24%, 眼窩外涙腺17%であった.5 授乳期乳腺では, 筋上皮細胞間に, よく発達したgap junctionが存在していた.これは, 他の腺においてはほとんど認め得なかった.6 筋上皮細胞と腺細胞の間の細胞間隙には, 腺細胞が出す葉状の細胞質突起が認められた.この突起は, 顎下腺, 耳下腺, 眼窩外涙腺でよく発達していた.
- 九州歯科学会の論文
- 1980-07-25
著者
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