牛耳下腺細胞質由来の NADP 依存性イソクエン酸脱水素酵素の精製とその性質
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概要
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牛耳下腺からNADP依存性ICDHを精製し, アクリルアミドゲルによる電気泳動で単一な蛋白質として得た.この酵素の比活性は45.2u/mg蛋白質で, 約960倍に精製された.収率は29.8%であった.分子量はゲル濾過及び蔗糖密度勾配超遠心から74, 000±2, 000と算定された.このICDHはオキザロコハク酸, α-ケトグルタル酸, ATP, ADP, AMP, NAD, NADHなどでは殆ど阻害されず, NADPH, パルミチルC_0Aで強く阻害された.NADPHによる阻害形式は, イソクエン酸に対しては非競争的, NADPに対しては競争的であった.パルミチルC_0Aによる阻害形式は, イソクエン酸の低濃度で阻害の著しい, アロステリック阻害であったが, NADPの濃度に関しては顕著な影響が見られなかった.これらのことから, このICDHは脂肪酸合成に必要なNADPHの供給に関与する酵素の一つとして働き, その調節は, イソクエン酸濃度が低い場合にはNADP濃度が高くてもパルミチルC_0Aによって, またNADP濃度が低い場合にはイソクエン酸濃度が高くてもパルミチルC_0Aの協働作用のもとでNADPHによって行なわれているものと考えられた.稿を終るにあたり, 本研究について懇切な御指導, 御校閲を戴いた中山教授及び種々の御援助を戴いた教室員各位に深く感謝の意を表します.
- 1977-09-30
著者
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