鋳造体の適合性におよぼす中子の影響
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概要
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近年埋没材の膨張の異方性, 不均一性が明らかにされている.この観点からすると, 単に標準試験片から求めた数値を用いて鋳造体の収縮補償ならびに適合性を検討することはできない.本実験では, リング内での埋没材硬化膨張の実態を調べるために, MOD鋳造体をワックスパターンの代りに埋没し, その脚部内外側に埋めこんだ圧力センサにより, 硬化膨張に伴うパターンへの圧を測定した.その結果, パターンの存在による埋没材の異方性, 不均一性の発生が確認された.すなわち埋没材はパターン脚部に挟まれた部分と, パターン脚部とリング壁との間の部分とにある程度分断され, それぞれの部分がかなり独立に膨縮する.クラウン型の場合も原理的には同一と考えられるので, 脚部内外側間の圧力差は中子の大きさに影響されるであろう.そこで外形寸法が等しく, 内側空洞部(鋳型における中子)の高さのみが異なる5種の円柱状鋳造体(中子の高さhが外側壁高さHの0/4, 1/4, 2/4, 3/4, 4/4)を作製し, ワックスパターンと容積ならびに各部の寸法を比較した.いずれの形態においても鋳造体は大きな容積収縮を示した.寸法変化率は各部位で異なっており, 変形は避けられない.外形, 肉厚, 内径はいずれも収縮値を示す中で, 内側高さだけはアスベスト裏装の有無にかかわらずワックスパターンより大きくなった.中子が大きくなるにつれて, アスベスト裏装することにより, 内径が部分的にパターンより増大する傾向にあり, 中子の高さhが3/4Hに等しいもの(通常のクラウン模型)では, 湿アスベストを2枚以上裏装すれば脚部全体を通じて内径の増大が認められた.これは中子の有効な膨張だけでなく, 合金凝固時の収縮に対する中子の抵抗作用にもよるものであろう.実際問題として鋳造体の収縮, 変形は避けられないものであるから, クラウン型鋳造体の適合は十分な収縮補償によるものではなく, 好都合な変形を可能にする中子の存在によるものであることが結論づけられる.
- 1977-07-31
論文 | ランダム
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