コンポジットレジンの破壊靭性について
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概要
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破壊靭性(K_<IC>)は, 歯科用コンポジットレジンに要求される重要な性質である縁端強度や耐摩耗性を予測する上で有用であると考えられている.本研究の目的は, コンポジットレジンにおける破壊靭性という性質を明らかにすることである.フィラーの含有率の異なる(0-64vol%)6種の可視光硬化型コンポジットレジンを試作し, 破壊靭性, 圧縮耐力, ダイヤメトラル引張強度, 曲げ強度および曲げ弾性率の測定を行なった.破壊靭性の測定は, 片側切欠き入り三点曲げ試験片を用いた.測定を行なった試験片は, 走査型電子顕微鏡により破面観察を実施した.すべての機械強度において, フィラーの体積百分率に対する正の相関関係が見い出された.破壊靭性(K_<IC>)は, フィラーを含まないレジンで0.604MPa√<m>, 64vol%のフィラーを含むコンポジットレジンで1.409MPa√<m>であった.破壊靭性においては, フィラーの配合による補強効果は, フィラーの配合量の大きい場合(30-64vol%)よりも, フィラーの配合量の小さい場合(0-30vol%)において著しかった.興味深いことに, その他の機械強度においては, この様な傾向を示さなかった.粒子分散強化複合材料における破壊靭性の強化機構としては, 表面エネルギーの増大, 微小な亀裂の発生による破壊エネルギーの吸収およびフィラー粒子による亀裂の阻止効果が考えられた.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1988-09-25
著者
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