アクリル基とメタクリル基を有する多官能性モノマーの合成と評価 : 可視光線重合型レジンへの応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
可視光線重合型コンポジットレジンの重合の不均一性を改善するために, 一分子内にアクリル基とメタクリル基を有する多官能性モノマー(アクリレート・メタクリレート)を合成した.アクリレート・メタクリレートの光硬化性を, UDMAをベースモノマーとして, 比較のために同一の官能基間構造を有するジメタクリレートとジアクリレートを用い, 光塊状重合体と可視光線重合型コンポジットレジンの機械的性質および未反応二重結合量を測定することにより検討した.アクリレート・メタクリレートとジメタクリレートの光塊状重合体の機械的性質は同程度であるが, 可視光線重合型コンポジットレジンのマトリックスモノマーとして用いた場合には, アクリレート・メタクリレートの方が優れていた.トリエチレングリコールジアクリレート(TriEDA)は, 可視光線重合型コンポジットレジンでは優れた性質を示すものの, マトリックス自体の性質はトリエチレングリコールアクリレート・メタクリレート(TriEAMA)とトリエチレングリコールジメタクリレート(TriEDMA)に比して著しく劣ることが分かった.TriEDMAの可視光線重合型コンポジットレジンの機械的性質が同一組成の加熱重合型コンポジットレジンより低いのに対し, TriEAMAの可視光線重合型コンポジットレジンは加熱重合型コンポジットレジンに匹敵する機械的性質を有することが明らかになった.また, 光塊状重合体においてTriEAMAの未反応二重結合量はTriEDMAより著しく少ないことが分かった.以上から, アクリレート・メタクリレートは可視光線重合型コンポジットレジンのマトリックスモノマーとして有用であると結論される.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1988-11-25
著者
関連論文
- 光重合型, 加熱重合型硬質レジンの歯科理工学的性質について
- 新しい光重合型歯冠用硬質レジンの研究(II) : エチレングリコールアクリレート-メタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの比較
- A-24 アクリレート・メタクリレートを用いた光重合型レジン
- アクリル基とメタクリル基を有する多官能性モノマーの合成と評価 : 可視光線重合型レジンへの応用
- A-17 可視光線重合型レジンに関する研究 : アクリル基とメタクリル基を有する多官能性モノマーの応用について
- 2′-アクリロキシエチル 2-メタクリロキシエチルカーバメートを用いた光重合型硬質レジンの検討
- A-34 新しいモノマーを使った光重合型硬質レジン
- A-14 新しい光重合型歯冠用硬質レジンの試み : アクリレートメタクリレートの応用について