石膏系埋没材の耐熱基材に関する研究
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概要
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これまでの石膏系埋没材よりも高い耐熱性をもった埋没材を開発する目的で, 酸化物を中心とした各種耐熱基材と石膏とで作製した各種埋没材を用いて, 熱重量測定, 示差熱分析, 熱膨張分析, フェノールフタレイン発色試験, 鋳造試験, 各種物性試験を行い検討した.その結果, 耐熱材が配合されることによって石膏の分解温度が下がり, 配合する耐熱基材の種類によって, 高温における石膏の熱分解温度に差のあることが認められた.今回の実験では, 従来から用いられるシリカを配合した石膏が最も低い分解温度を示し, 順に, アルミナ, 珪酸カルシウム, マグネシア, ジルコニア, 酸化亜鉛, カルシアと高い分解温度を示した.これは耐熱材の塩基度に近い順位であった.炭素による石膏の分解促進を抑制する添加材としては, 従来から知られている蓚酸よりも蓚酸カルシウムの方がより有効であることを見い出した.石膏系埋没材の耐熱材にアルミナまたはジルコニアを用いた場合, 1, 200℃以上の高温で熱膨張が特異的に増大した.ジルコニアあるいは酸化亜鉛耐熱材の石膏系埋没材鋳型へ融点1, 399℃のCo-Cr合金の鋳造も可能であり, フェノールフタレイン法による赤変は鋳型内壁面周辺に限定された部位にのみ観察された.石膏を結合材にするこれら埋没材は, 焼成強さが700℃よりも900℃の方が大きく, また, 1, 200℃〜1, 400℃で石膏の分解産物であるカルシアと耐熱材が反応して大きな熱膨張を示すものもあるなど, 従来の加熱温度以外で, その長所が生かされる可能性のあることが見い出された.
- 1991-03-25