象牙質接着におけるグルタルアルデヒドの利用に関する研究
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概要
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象牙質接着において殺菌は今後重要な1つの側面になりつつあると考えられる.グルタルアルデヒド(GA)は医療器材や道具用のウイルスの殺菌剤として臨床的に使用されている.またGAは, GLUMAプライマーの1成分として象牙質接着にも現在利用されている.本研究では, グルタルアルデヒドを殺菌剤として象牙質接着に積極的に利用するため, プライマーおよびエッチング剤へのGAの添加の影響について検討した.GAを2-ヒドロキシエチルメタクリレート水溶液プライマーに添加すると, EDTAやリン酸などの前処理剤の種類や重合開始剤の種類を問わず, 象牙質とレジンの接着強さの向上に顕著な効果があった.走査型電子顕微鏡や赤外線吸収スペクトルによる象牙質表面の研究の結果, GAを添加してもリン酸水溶液の象牙質エッチング作用には影響がないことが解った.またそのことにより象牙質接着がマイナスの影響を受けることはなく, むしろ接着強さの向上にややプラスの効果があった.GAを添加した10%リン酸水溶液は, エナメル質と象牙質を同時にエッチングし得る, 殺菌性を有する, トータルエッチング液になり得る可能性が示唆された.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1993-01-25
著者
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