桜島有村における傾斜観測
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概要
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桜島南岳山頂火口の3km南々西の有村に気泡式傾斜計を設置し観測を行った.短かい基線の傾斜計による観測は設置環境の良否にその成果が左右されるが, 有村では経年変化は器械の公称ドリフトを下まわり, 年変化は1秒角程度, 潮汐の全振幅も0.05秒角程度と小さく, 今までに報告されたいくつかの火山周辺での傾斜観測に比べ環境が優れていることが明らかになった.設置以来短期間に1秒角を越えるような急激な傾斜変化は観測されていない.傾斜ベクトルの動きと噴火との関係を調べてみると, 動きの少ない時に, 爆発が増加する傾向が認められた.半日から1日周期付近のスペクトルを調べてみると南北成分のノイズが東西成分に比べ大きく, 南北成分は気象条件(降雨, 気温)の影響を受け易いものと思われる.潮汐による傾斜の最大分潮であるM_2について時間的な振幅の推移を見ると10%程度の振幅変化が認められる.この変化は他の諸条件の変動と対応せず, 桜島周辺の地殻構造(弾性常数, 密度)に変化を生じた可能性を示している.しかしこの現象の確認のためにはより長期間の資料を用いて調査する必要がある.次に, 潮汐変化と同程度の時間スケールの傾斜異常を検出することを試みた.その結果南北成分には降雨の影響が傾斜異常として現われるように見える.また, 東西成分は爆発活動と対応した時期に異常があらわれる場合があるが, よりはっきりした関係を求めるためには, 傾斜計を降雨や温度などの気象条件の影響を受けない場所に設置することが望ましい.
- 1979-04-01
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