ずり応力下における誘電測定の歯科理工学的有用性
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概要
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円錐平板型回転粘度計と誘電測定とを融合した装置を作製し, ずり応力を試料に均一に付加し, 練和過程での粘性流動中の分子の挙動や配向状態をミクロ的に電気信号としてとらえることを試みた.試作した装置を用いてシリコーンラバーベース印象材の基材であるポリジメチルシロキサンの練和過程における挙動を分子量依存性, ずり速度依存性について分子構造的に解析した.その結果, ずり応力付加とともに誘電率ε′は最初急激に減少し, 分子と分子のからみ合いの離断速度と熱的ゆらぎによる新しいからみ合いの生成される速度が平衡状態に達する段階で一定値になった.そのとき, 誘電率ε′は温度, 分子量に大きく依存した.このことは, ずり応力下における誘電測定法は歯科材料の硬化過程における反応および練和による硬化物の構造を分子レベルで解析する糸口を示唆している.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1982-05-25