ポリアラミド繊維およびその改質分子で補強された複合PMMAレジン
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概要
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上顎義歯レジン床における口蓋部用補強材としてエポキシ樹脂含浸処理炭素繊維(ECF)の利用が有効であることはすでに報告した.しかし, 元来黒色を呈するCFは審美性において臨床に導入され難い.そこで, 審美的に優れ, しかもCFに匹敵する高強度のポリアラミド繊維(Kevlar Fiber, KF)からつくられたクロスの利用を試み, コンポジット材料の物性を検討した.すなわち, KFを種々の樹脂処理を施し, PMMAレジンではさんだ複合試験片を作製し, 曲げ, 引張り, アイゾット衝撃強さおよびたわみ量を測定した結果, 曲げおよび引張り強さはCFの場合と同等で, 特にアイゾット衝撃強さはCF複合試験片の2倍であった.次に樹脂の補強法として, クロスの代りにKFの成分であるPoly(p-Phenylene Terephthalamide)(PPTA)の剛直な分子骨格を補強材とする, いわゆる分子複合材をつくり, その物性を検討した.すなわちPPTAをNaH+DMSO系でメタレーション化することによりアミド結合のH原子をアルキル置換し, MMAに可溶な改質PPTAを合成し, これをコアー分子としてPMMAに分子複合させた「モレキュラー・コンポジット」を作製し, その歯科理工学的性質について検討した結果, 圧縮, ダイヤメトラルおよび曲げ強さに10〜15%の増大を示すことが分った.
- 日本歯科理工学会の論文
- 1985-05-25
著者
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