合着用セメントの硬化後の寸法変化

概要

論文の詳細を見る
現在,市販されている4種類の系の合着用セメントについて練和比および試料寸法を変えた場合,硬化後の寸法変化率に変化があるか否かを検討した。測定方法は次の3通りとした。 (1) 一定温度(37±0.2℃)のもとで経時的寸法変化の測定 (2) 37℃から60℃までの昇温(1℃/min)にともなう寸法変化の測定 (3) 37℃から10℃までの降温(1℃/min)にともなう寸法変化の測定その結果,リン酸塩系セメントの寸法変化量は,方法(1)では,-1.8∼-1.4μm,方法(2)では,-1.3∼-0.9μm,方法(3)では,-1.0∼-0.4μmとなり,用いられた他の系のセメントと比較して最も小さかった。練和比を変えた場合の寸法変化量はフジアイオノマーが他のセメントに比べて大きく,方法(1)では,-3.8∼-2.0μm,方法(2)では,-1.8∼-1.2μmであった。試験片の厚さを変えた場合の寸法変化量は,方法(1)では,フジアイオノマーが最も大きく,-2.9∼1.1μmであり,方法(2)では,CBAが最も大きく,0.2∼1.7μmであった。
日本歯科理工学会の論文
1985-06-25