15世紀イタリアの医師のまなざしと生殖・妊産婦の養生 : ジョヴァンニ・ミケーレ・サヴォナローラの論考から
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概要
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医療と健康の社会史研究は、近年著しい進展を遂げている。この分野は、欧米において社会史研究が発展する1970年代以前は、主として医学史研究の一環として進められ、そこで扱われるテーマも疾病史や医学理論の推移など限られたテーマに限定されていた。しかし近年は、医学史の領域を超えて、疫病が社会にもたらしたさまざまな影響や、医療と大学医学部、あるいは施療院などの慈善施設との関係といった、より広い社会史的な研究へと移行している(1)。また、社会史研究の進展と平行して、フェミニズムや女性史の視点から、産科学の進展とその結果としての産婆と医師の関係の変容、出産の習俗史などに焦点を当てた研究が出てきたこと(2)も、注目に値する。そして、1990年以降は、女性だけに研究の焦点を当てるのではなく、ジェンダー(男女の社会的・文化的性差)という、より広い視軸を歴史学に導入する試みが模索され、近年の欧米の研究では、医療と健康の社会史においても特に男女の差異が論じられるようになってきている(3)。
- 2002-03-30