イタリア語派生法の一問題 : 接尾辞ゼロの動詞派生名詞について
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概要
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§0 本稿でとりあげるのは、例えば、accennare「合図する」から派生したaccenno「合図」、chiamare「呼ぶ」から派生したchiama「点呼」、rimborsare「払い戻す」から派生したrimborso「払い戻し」のように、動詞の語基(原則として、不定詞から-are, -ere, -ireを除去した部分と一致)に、名詞としての体裁を与えるための語末母音-o(男性名詞)ないし-a(女性名詞)を添えることによって作られる派生語についてである。このようにして形成された名詞は「動詞派生名詞」(deverbale)としばしば呼ばれるが、この用語は、接尾辞(-mento, -zioneなど)を伴った、動詞からの派生名詞を含めて使われることもあり、それらと区別するため、accenno/chiamaタイプの派生名詞をとくに「接尾辞なしの動詞派生名詞」(deverbale senza suffisso)、または「接尾辞ゼロの動詞派生名詞」(deverbale a suffisso zero)と呼ぶ(以下の記述ではこれを略して「ゼロ派生名詞」と呼ぶことにする)。なおまたここにみられる派生法は、接尾辞(ここでは動詞接尾辞-areなど)、ないし話し手の意識のうちで接尾辞に擬せられた要素の除去によって新語を得る、「逆成」あるいは「逆派生」(retroformazione)と呼ばれる派生法の一種をなすものである。
- 1988-10-30
著者
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