中世後記の商業郵便 : イタリアを中心とする考察
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概要
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イタリアの商業諸都市は中世後期、即ち一四・一五世紀において、西欧および地中海の各地と密接な商業関係、即ちそれらとの恒常的な取引が自己の経済存立の不可欠の前提をなすような関係をもっていた。ところで既にその商業のありかたは、商人が商品とともに各地を遍歴して取引をなす「遍歴商業」にかわり、本拠地に定着した商人が各地に開設した支店・代理店に文書で指示を与えることにより、広範な地域にわたる多角的な取引を同時になす「定着商業」となっていた。したがって、刻々変化する複雑な商業環境の中で自存を計るには、緩急自在に的確な指示を与える必要があり、またそのためには、支店・代理店等から文書による詳細な情報を間断なくえて、各地の状況に精通している必要があった。このように、中世後期のイタリア商業は頻繁な商業文書の往復、即ち商業郵便をその存立の不可欠の前提としていたのである。と同時に、商業郵便のありかたが商業自体のあり方を、部分的には、規定していたと思われる。にもかかわらず、商業郵便についての研究は従来十分にはなされておらず、その構造全体について均衡のとれた認識をすることは現在困難である。しかし、同時代の商業のありかたを研究しようとする場合、商業郵便についての問題の所在を確認しておくことは必要である。これが本稿の目的である。
- 1985-03-30
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