ファジィ目標の概念をDEAに導入したファジィ満足化手法
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概要
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いくつかの営業所や支店(一般に, 事業体(DMU)という)から構成される企業において, 各事業体の相対的な個別の効率評価を行うことが重要な課題となっている.また, 企業をひとつの事業体とみなして, 属する業種内での各企業の相対的な効率性の位置づけも重要な課題となっている.このような背景から, 生産関数を用いた事業体の効率性評価の研究が盛んになっている.最近では, DEA(Data Envelopment Analysis)が, 生産可能集合の制約を満たす効率評価の手法として注目されており, CCRモデルやBCCモデルが考案されている.DEA手法において, 多入力多出力システムを取り扱った場合, 多入力に関して1出力の効率値だけがそのままDEA効率値として求められる場合がある.これは, この出力以外の他の出力が無視された場合であり, この状況は頻繁に起こる.これがDEA手法の最大の問題点として考えられる.また, DEA効率値に注目すると, 各出力を個別に目的関数とし求めた最大効率値よりも大きくなる傾向を持つ.以上のような背景から, 全般的な効率は, 出力を個別に目的関数と考えた場合の最大効率値と最小効率値との中間に存在と考える方が自然である.従って, DEAモデルにファジィ目標の概念を導入し, ファジィ満足化手法を提案する.しかしながら, このファジィ目標を導入した効率値の満足解は, 常に出力を個別に目的関数と考えた場合の最大効率値となる.ここで, DEAの目的関数に注目すると, 各出力に関しての効率値の線形和となっており, 各出力の効率値を個別に目的関数として定式化した多目的計画問題のスカラー化手法とみなすことができる.従って, DEAモデルを新たに多目的計画問題に定式化し, ファジィ目標の概念を導入し, 坂和らが開発したファジィ満足化手法の手順に沿って, DEAモデルの最大の問題点を解決するファジィ満足化手法を提案する.さらに, 坂和らが提案しているファジィ満足化手法の手順に従い, 意思決定者の満足度を考慮しながら, ファジィ満足解を更新し, 意思決定者が満足できる妥協的な効率値を求めることができる.この満足解の更新と, 入力改善計画は密接に関係しており, 意思決定者の満足度合いに基づく入力改善計画が, 意思決定者との対話により求められる.
- 日本知能情報ファジィ学会の論文
- 1997-10-15