ファジィエントロピー理論に基づくファジィ推論方式
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概要
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従来の推論方式では、IF条件部グレードαを用いたα-cutによる有効度が推論値に影響していた。本論文では、α-cut後のTHEN結論部のファジィ集合全体のあいまいさをファジィエントロピーによる重み付け平均として非ファジィ化演算に取り入れることにより、推論値の導出過程におけるグレードαの影響を抑制する推論方式を提案する。本提案の推論方式の特徴としてIF条件部のグレードの変化に対して、推論値は過敏に反応しないロパスト性があることが判明した。このような結果を踏まえて、以下に述べる様に、対象とするシステムにファジィ推論方式を適用する際、従来の推論方式と本提案の推論方式の使い分けについての考察を行ったので報告する。従来のファジィ推論方式は適用するシステム対象に対して、ルールやメンバーシップ関数の同定後の変更が少なく、推論値の算出に際して、IF条件部のグレードαの影響を抑制する必要が無かった。しかし、適用するシステム対象が常に動的に変化し、絶えずルールやメンバーシップ関数のチューニングを余儀せざるを得ない環境下において、入力情報そのものに、不確定性がつきまとう場合が多い。そのため、制御する対象によっては安全性などを考慮して、グレードαに対する推論値への急峻なる影響を抑制し、推論値の導出過程において、不確定さを加味する必要がある。すなわち、対象とするシステムに適用する際、システム環境に応じた適切な推論方式を採用することが重要である。
- 日本知能情報ファジィ学会の論文
- 1996-04-15