適応的にlを変化させるBiCGStab(l)法
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概要
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BiCGStab(l)法, 非対称の大型疎行列を係数とする連立1次方程式を解く算法の一つである.これは, BiCG法(双共役勾配法ともいう)の残基ベクトルにl次のMR多項式(最小多項式ともいう)を掛けることで残差ノルムの収束を加速させたものである.一般に, MR多項式の次数lの値が大きいと残差ノルム収束は良くなるが, 余分な計算時間を必要としてしまうのが難点である.算法がブレイクダウン(破掟ともいう)しそうになったときに, MR多項式の次数lを変化させる算法が, SleijpenとVan der Vorst^10)によって提案されているが, 彼らの算法を従来のBiCGStab(l)法と比較すると, 残差ノルムが収束するまでに余分な計算時間を必要とすることが多い.本稿では, ブレイクダウンが起こりそうなときと残差ノルムが停滞したときの両方の場合に, MR多項式の次数lを変化させる算法を提案する.最後に, この新しい算法を富士通の分散メモリ型並列計算機AP3000に実装し数値実験を行ない, その算法の有効性について, 従来のBiCGStab(l)法などと比較検討を行なう.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1998-05-15
著者
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