「日本産育習俗資料集成」の分析からみた妊娠するための方策 : "あやかり"と"とりこみ"
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概要
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今日のような不妊治療がなかった時代に,子どもを産むための方策として,どのような言い伝えが存在したのかを明らかにし,現代における生殖観との違いについてみた。そのための資料として,昭和の初期に聞き取り調査をしてまとめられた「日本産育習俗資料集成」を用いた。1)子どもを得るための方策として429件の内容があった。(1)妊娠するための具体的な方策に関するもの(2)妊娠を祈願するもの(3)男児を出産するための方策に関するもの(男女の産みわけも含む)(4)分析不能なものの4つのカテゴリーに分類できた。2)妊娠するための具体的な方策は,「食べる」(50件),「またぐ」(46件),「すわる/腰かける」(26件),「寝る」(25件),「もらう」(24件),「身につける」(17件),「育てる」(14件),「温泉にはいる/行く」(13件),「ぬすむ」(9件),「くぐる」(5件),「借りてくる」(4件),「さする/なでる」(4件),「灸をする」(3件),「抱く」(3件),その他(10件)であった。3)今日の不妊治療のような積極的な治療的行為としての意味を見いだすことはできず,上記の方策は,【摂食に関わる行動・動作】【日常生活上での身体的な活動を伴う行動・動作】【身体接触を伴う行動・動作】【日常生活に付随した行動・動作】に分類できた。この行動・動作の背後にある意味として,摂食や接触,また日常的な行為のなかで,なにかにあやかって,さらには,なにかをとりこんで妊娠・出産するという意味合いのつよい方策であった。
著者
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五十嵐 世津子
弘前大学医学部保健学科
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森 圭子
弘前大学医学部保健学科
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五十嵐 世津子
弘前大学医療技術短期大学部看護学科
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五十嵐 世津子
弘前大学医学部保健学科看護学専攻
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森 圭子
南女子大学看護リハビリテーション学部
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