水溶液中におけるダブシルアミノ酸の会合挙動(<特集>「若手研究者の初論文」)
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概要
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ダブシルクロリド(Dabs-Cl)は, 高速液体クロマトグラフィーなどによるタンパク質分析の際のアミノ酸標識剤である.著者らは, Dabs-Clで標識された一連のダブシル化アミノ酸(Dabs-AA)を合成し, 紫外可視吸収スペクトル及び円二色性(CD)スペクトルを測定し, Dabs-AAの水溶液中での会合挙動を検討した.希薄水溶液では, Dabs-AAの可視部の吸収はジメチルアミノアゾベンゼン色素特有のpH依存性を示す.Dabs-AAの濃度上昇に伴い, 500nm付近のDabs-AAのモノマー由来の吸収は減少し, 360〜400nm領域にダイマーに由来するピークが観測される.ダイマーの形成は共溶媒として用いたジメチルスルホキシド濃度, 溶液温度及びアミノ酸側鎖(R)に依存する.Dabs-L-Pheの363nmに観測されるダイマーの吸収帯に対応して, 379nmに負の第一コットン効果, 359nmに正の第二コットン効果をもつ強い誘起分裂型CDスペクトルが観測された.これらの結果から水溶液中では, Dabs-L-Pheは負のキラリティーを示す配向でダイマーを形成していることが示唆された.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 2005-09-05
著者
-
桑江 彰夫
名古屋市立大学大学院システム自然科学研R究科
-
国本 浩喜
金沢大学大学院自然科学研究科
-
細井 信造
九州保健福祉大学薬学部薬学科
-
前田 史郎
福井大学工学部生物化学工学科
-
林 宏成
金沢大学大学院自然科学研究科物質工学専攻
-
佐々木 千鶴
金沢大学大学院自然科学研究科物質工学専攻
-
花井 一彦
名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科生体物質情報系
-
桑江 彰夫
名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科
-
桑江 彰夫
名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科生体物質情報系
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