ジチオカルバメートセルロースの合成と金属イオンに対する捕集機能
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概要
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セルロースをトシル化した後ブチルアミンを反応させて,水酸基をアミノ基で置換したブチルアミノセルロース(BUA)を得,更に二硫化炭素を作用させることによってジチオカルパメートセルロース(BUD)を合成した.このBUDを用いて19種の金属イオンに対する吸着挙動をpHとの関係において,主としてトレーサー実験法により検討した.その結果,酸性領域ではCr^<6+>,Mo^<6+>,Sb^<3+>,Sb^<5+>,及びTe^<4+>が吸着の極大を示し,中性領域ではAs^<5+>,Cd^<2+>,Cu^<2+>,Hg^<2+>,In^<3+>,及びPb^<2+>が,その極大を示し,そしてアルカリ領域ではAg^+及びCo^<2+>が,その吸着量の増大を示した、一方,Ca^<2+>,及びNa^+は全く吸着されなかった.Hg^<2+>のBUDへの交換容量を酸性領域でバッチ法により求めたところ,98%の吸着率を得る場合に40mg Hg^<+>/g BUDに達する.又,中性領域でカラム法によりCu^<2+>,及びPb^<2+>の交換容量を,酸性領域でCr^<6+>の交換容量を求めたところ,それぞれ5.5mg Cu^<2+>/g BUD,4.7mg Pb^<2+>/g BUD,15mg Cr^<6+>/g BUDであった.更に,BUDの酸及び熱に対する安定性をカラム法により,Cu^<2+>吸着量の変化を調べて検討した.すなわち,0.1N〜2.0Nの塩酸で処理した場合,その吸着は16%〜25%でありた.又,110℃Cの熱処理によれば1時間では73%,20時間では48%の吸着であった.最後に,BUD中の不純物元素について中性子放射化分析法により検討したところ,この交換体を微量分析の前処理に適用する際に問題となるほどの不純物元素は検出されなかった.
- 1979-07-05
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